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6. 経営者として、事業へのロマン

<企業は人なり>
嶋内
ここまで、色々なお話を伺ったんですが、はんしん様が今後目指していくものとか、USEIが今後目指していくものとか、そんなお話を交えながら、お二人の経営者としての事業へのロマンについてお話いただけますか。
内田
これはなかなか難しいですよ。ただ言える事は、私が飯能信用金庫のトップとして何をやったのかということであれば、やはり、企業は人なりと言うように、人を育ててきたことでしょうか。

私は、支店長時代から相当厳しかったといわれていまして、でも後から必ず、あの支店長は、結局は良かったとも言われてきました。
昨日も新支店長に「厳しい支店長になれよ」と言ったんです。その時はちょっとうるさい支店長だと言われるかもしれないけれども、楽な支店長の下にいては人間は伸びないよと。やはり厳しい支店長の下にいて初めて人は伸びるのです。その時、いい支店長だと言われるよりも、後から言われる方が価値がある。「嫌われ者になれとまでは言わないけれども、その人の事を思って厳しい支店長になってくれよ」と、こういう話をしたんです。

朝川
内田会長の厳しい支店長姿は想像できますね。
内田
当時怖かった、厳しかったと言われますけれども・・・
朝川
でもそれは愛ですものね。
内田
そうなんです。
朝川
私は内田会長が支店長時代、そして理事長、会長となってからも命がけで、飯能信用金庫という会社を育ててきたというふうに思って見ています。ここまでやらなくてもいいものを、心血注ぐというのは、まさにこういう事だなと思います。
嶋内
お話を伺って、やはり心配になるのは、内田会長の後継者はどうなるんだろうということです。
内田
いや、もう大丈夫でしょう。何とかやっていくもんですよ。前の理事長とも話をしてね、「俺たちがこれだけ心配するのは年取った証拠だよ」と笑い合いました。
その代わり、難しい事は全部やってしまっておこうということで、この3年は、エリアの拡大とか、なかなか認可が下りないような事もいろいろやりましたし、支店網もそれなりに広げたり、色々な事をやってきました。それから最後は、企業は自己資本の勝負だろうということで、自己資本をこの4年間で相当厚くしましたから、もう相当とんでもない事が起こらない限り、われわれは大丈夫だと思います。
嶋内
それは心強いですね。
内田
やはり、肝心なのは、3つ。ボリュームと内容と職員の質。この3つが勝負になるわけですよ。今やボリュームと内容は大丈夫だね、でも職員の質はどうだろうかということで、これはなかなか比較しにくいですからね。だからそこをしっかりしておかないといけないと思うんです。
朝川
そうですね。職員の質をあげることも重要ですが、そのためには経営者自身が勉強しない組織なんて、そもそも誰も勉強しないと思うんです。そういう意味では、私は、内田会長との出会いに感謝しています。大学院に行ってみて、勉強しない会社の人間は、生き残れないということも勉強させてもらいました。
私は2つの点で勉強したいという思いがありまして、一つはもっともっと事業の内容を良くしたい。そして、できれば発展させたいという思いがあったのと、もう一つはつぶれない会社にしたいという思いです。
会社を受け継いだ当時は、お客様が8人しかいないというほどひどい状態だったので、それをなんとかしなければならなかったんです。ですからこのUSEIのロゴは、ゴープラのgの文字を謳ってはいるんですけど、実は、深読みすると8に見えるんです。実は、このロゴには、お客さまが8人しかいなかった「Day 1を忘れるな」という意味が込められているのです。
内田
ああなるほど!
朝川
どうすればつぶれずに済むんだろうと日々試行錯誤を繰り返しています。「売り家(うりいえ)と唐様(からよう)で書く三代目」にはなりたくないですからね。でも、曲りなりにも勉強すればするほど、実は分からない事も結構増えていくんですね。分かった事は完全なフォーマットとか決定的なビジネスモデルなんていうものは、この世に存在しないということだけです。
<地域に存在する意義のある企業を目指して>
嶋内
では、USEIの今後についてはどうでしょうか?
朝川
そうですね、内田会長の生き様を見ていると、オーナー社長である私は、もっとやらなくてはいけないはずなんです。そこで初めて、その地域で求められる事業になると思っています。
はんしん様が謳っている、地域とつながっていくというリレーションシップバンキングの考えは、私たちも非常に似ていて、業種は違うけれども、同じ方向を向いていると感じます。また、ライバルがいっぱいいる中で、自分たちの特徴を出していけば、生き残っていけるし、必要とされるという「共存の考え方」も同じです。
金融機関が必要とされない社会はないですけれども、パチンコや遊びは、別に無くてもいいと言われたりするんです。でも、毎日栄養タブレットと、水だけ飲んでいる生活もわびしいと思いませんか。食べる時には好きなメニューから選びたいし、お酒も好きなお酒から選びたい。同じように、遊びも好きな遊びから選んで、人生に彩りを添えたいと思うのです。そのために、私たちのビジネスが広まっていけば、少なくとも生活に困る人は生まなくても済むのです。そういう大義をやろうと決めたのですが、思いだけではできません。そんな時、内田会長のような方が後押ししてくれたというのは、とてもありがたかったです。
最初に上海で話を聞いてくださったときに、弊社がパチンコ業であるにもかかわらず、会長が「朝川さんのところには融資するよ」と言ってくださったことは忘れられません。「融資するよという言葉に値するビジネスをやっているのかどうかという視点を常に大切にしたい」ということを、今日を機に、もう一度しっかりと胸に刻みたいと思っています。
嶋内
これから大きなビジネスチャンスと考えられるものはありますか。
内田
これからのうちの一番大きな課題は、大廃業時代にどうするかということです。廃業がこれから非常に増える。それも内容が悪くて倒産して廃業するわけじゃなくて、後継者問題とか、色々な問題があって廃業せざるを得ない企業の抱えている問題をわれわれが解決することが、これからの大きな仕事だろうと思います。その核になるのが竹林舎や、竹林舎OB会です。われわれが、それぞれをつないでいくことで、ビジネスとして成立させていく。それは地域の衰退を止め、そこにいる従業員の生活も助けられるということですから、そういうことがわれわれの責務であり、これからのフィービジネスの一つになってくるんじゃないかと思うんです。これをしっかりやっておこうと、今考えています
嶋内
興味あるお話ですね。
内田
異業種には何か興味はあるんですか?
朝川
新しいビジネスも考えてはいるんですが、今はまず低価格のパチンコ業をしっかりとやっていきたいと思っています。
私は、城山三郎の『少しだけ、無理をして生きる』がすごく好きなんです。背伸びし過ぎるとアキレス腱を切ったりしますけれども、ちょっと背伸びしないと、負荷が掛からないので成長がないですよね。これは常に戒めとしているところです。内田会長の思いを、私も地域で受け継ぎたいと思ってやってきており、そのためには自分自身にも厳しくないといけないと思っているんです。ですから、チャンスがあれば、色々とチャレンジしたいとも思います。
嶋内
そうですね。私も今のこのUSEIはまだまだ不十分ですけれども、結構ポテンシャルがある組織に育っているなと思っていて、そういう意味ではまずパチンコでしっかりと事業を固めていきながら、もうちょっと見ていてくださいという楽しみが生まれてくるというところでしょうか。
朝川
今後の課題として、これから様々なチャレンジをすることによって、その結果、ドラッカー風に言ったら、「あなたの会社は何によって覚えられたいですか」と言われた時に、「こういったビジネスで覚えられたいです」ということを、今年も来年も続けていく。そしてその思いを継げる人たちを生み出していきたいというふうに、僭越ながら思っています。
これからも会長に、とにかく朝川のところに声掛けてみるかと言ってもらえるように、会社を育てていきます。最初にお声を掛けていただけるような組織を作っていきますので、よろしくお願いいたします。
今日は本当にどうもありがとうございました。
内田
今後とも頑張ってください。応援しています。
高橋先生


内田哲会長プロフィール

最終学歴 慶應義塾大学商学部 卒業
2006年6月 飯能信用金庫 理事長就任
2014年6月 飯能信用金庫 会長就任

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