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3. 棲み分け(ポジショニング)について

<アメリカ研修から学ぶこと>
嶋内
ここで、少しテーマを変えていきたいと思います。
入間においても飯能においても、春日部においても同じなんですが、やはり大手のパチンコホールがあるわけです。客数を取るといっても、大手が群雄割拠している所で、USEIはどうやって棲み分けをしていくのか、社長の考えを聞かせください。

アメリカ研修から学ぶこと

朝川
そうですね、やはり当然、この地域でも全国屈指のお店とか、関東1位のお店があります。ポジショニングの話は、パチンコだと分かりにくいんですけれども、スーパーマーケットを見るとすごく分かりやすいのです。
私たちは、アメリカに視察に行って、スーパーマーケットやその他いろいろなビジネスモデルを見て、それをパチンコの低価格のビジネスにどう応用するかということを常に考えています。
アメリカというのは日本と違って、気を抜くとすぐに食われてしまうような弱肉強食の市場なんですね。この間もアマゾンがホールフーズを買収したりなど、展開が早いんです。実はスーパーには5タイプありまして、「コンビニエンスストア」「スペシャリスト」「ハイパーマーケットやスーパーセンター」「ハードディスカウントやホールセールクラブ」、そして「特徴のない平均的なスーパーマーケット」です。
これはどういうことかと言うと、例えば、高価格で商品は少なくてもいいというローソンやセブン-イレブンなどのコンビニエンスストアは、時間・便利さを売る商売として成り立っています。売っているものがちがうのです。
一方、世界で最大の企業、50兆円の売り上げを誇るウォルマートは、たくさん商品があって、なおかつ価格も安いという、最も難しいビジネスをやっているんです。
また、ホールフーズとか、ウェグマンズは、良いモノを売るけれど値も張るというビジネスをしています。私たちも実際に視察に行きましたが、ウェグマンズで特徴的なのは、ミールソリューション「食に関するあらゆる問題解決(売場と食卓の連動)」で、「食べる革命を起こす」という政策です。良いモノを良い価格で売っていくという高付加価値の提供をも視野にいれたモデルです。
さらに、コストコのように、「絞り込まれた商品群だけれど圧倒的に安い」というモデルもあります。あとは全従業員が株主というウィンコもユニークです。
また、普通のスーパーでは、レジで「いらっしゃいませ」とあいさつをするところを、アルディというドイツ資本の会社では、レジ係は座っていて右から左にバーコードを流すだけなんです。しかしアルディでは、レジ係が座っていてもお客さまは驚かないんですね。なぜなら安いから。牛乳がウォルマートより安いというビジネスをしています。しかも、商品の陳列が乱れていても、補充もしないんです。なぜなら、決まった時間にならないと補充しないと決めているからというように、超効率経営をしているんです。
あとはトレーダー・ジョーは日本にはないんですが、ここはセンターから350キロまでしか店舗を出さないというように、配送効率にこだわりドミナントで徹底的に店舗を出していくという方針です。
この間、ライド・エイドというドラッグストアを買収したアルバートソンズは、実はファンドが頑張っているだけで、お客さまは全然いないんですね。つい15年前はアメリカで2位だったんですけれども。
嶋内
そうですね。
朝川
特徴が無いということで、中途半端な接客と中途半端な価格と中途半端な品揃えをしていった結果、誰も来なくなったという例です。お客さまへのインタビューで「何で来るんですか」と質問したら、「近いから」というだけの理由なんですね。
このように、やはり記憶されない会社はつぶれていくだろうということで、弊社もパチンコ業態を分析して、どうやったら私たちは覚えてもらえるのかというところを、プロットしてみたんです。
そうすると、駅前の薄汚れた建物にある古臭いパチンコ店などは、収益をあげられないままになんとかやっている状態です。いわゆる大手のチェーン店は、きれいで絢爛豪華で、台数もいっぱいあって、一見良いようですが、4円パチンコをやっているので価格は高いんです。やはりその分お金を取られるというところですね。
私たちはそのような4円パチンコへの対抗軸として、低価格だけれどもお店の規模を広げるというチャレンジをしています。実際、今は、飯能は338台ですけれども、入間店は722台あります。低価格でも規模は広げられるということを、アメリカに学びに行って、USEIのポジショニング戦略に活かしています。
このように、私たちはパチンコの業態の差別化をしているというよりは、4円パチンコに対して、私たちが1円パチンコという新しい業種を作っているつもりでやっています。業種そのものが違うという意識で、ビジネスを行っているのです。
<はんしん様のポジショニング>
嶋内
ありがとうございます。今、朝川の方から私たちの会社のポジショニングというお話をさせていただいたんですが、例えば、大手の信用金庫や銀行がある中で、はんしん様の位置づけ、ポジショニングはどのようにイメージされているんでしょうか。
内田
金融というのは、なかなか差別化が難しい。扱っている商品がほぼ同じものですから、いわゆる商品の差別化はなかなかできません。では、何ができるのかというと、やはり「人の差別化をやろう」と、どの金融機関も言うわけです。だけど、それがどういうことなのかというのはなかなか難しい話なんです。私は「人の差別化」と、ビジネスモデルとして「サービスの差別化」が重要だと思っています。具体的には、うちはface to faceでいこうという考えです。まさに、これがビジネスモデルの差別化で、対面営業をますます強めてきています。

はんしん様のポジショニング

今はインターネットとフィンテックが非常に注目されていますけれども、非対面チャネルについては、他の金融機関ができるぐらいの事はうちもできますから、同じくらいのレベルで良いと考えています。
対面営業は、移動という物理的に余分な時間がかかりますので、効率が非常に悪いわけですが、そうはいっても、やはり最後は人と人、人情と人情というか、いわゆる無機質な関係ではなくて、もう少し熱い、真ん中に情が挟まった関係、こういうものをわれわれは築いていく。そのためにはface to faceでしっかりした適切な金融サービスを提供して、お客さまからの絶対的な信頼を受けるというビジネスモデルでいこうということで、10年ビジョン(10年後、当庫はどうあるべきかというようなもの)を作りました。これは、「最初に頭に浮かぶ金融機関になれ」ということです。

朝川
まさにポジショニングですね。
内田
つまり、絶対的信頼を受ければ「何かあったら、はんしん」という存在になれるということです。中期経営計画として「エクセレントはんしん2017」がありますが、私はエクセレントを「さすが」と訳せと言いました。「さすが、はんしん」「はんしんはちょっと違うね」というものになっていかないといけないですね。これが差別化だよと常々言っているんです。
<弱者の戦略>
朝川
会長のすごいところは先見の明があるところなんです。実はこの間、帝国データバンクの情報で、都銀のシェアが下がったねという話をしていたんです。
嶋内
そうなんです、今下がっていますね。
朝川
やはり画一的なサービスは、もう都銀である必要はなく、むしろ、「都銀は何を生んでくれるのか」「困った事に対して何を解決してくれるのか」というニーズが、大きくなったんじゃないかと思うのです。
フィンテックとか金融革命が起きている一方、それらの金融商品は便利ではありますが、これからますます悩みが増える中、企業側の悩みを聞いてはくれないので、まさにはんしん様の2017年からの取り組みというのは非常に成果を上げてくるんじゃないかなと思っているんです。
内田
それは間違いなく、そうです。うちのような弱者はどうするのかというと、「全面戦争やっちゃ駄目よ、同じ土俵に上がるなよ」ということです。たまに上がるのはいいけれど、いつも上がっていては、負けてしまうということですね。
朝川
本当におっしゃるとおりです。つい調子に乗ると、みんな同じ土俵にあがろうとするのですけれど、その中で特徴のないことをあれこれやっても意味がないというのは、非常に強く感じましたね。
嶋内
そうですね。私たちも盛んに、共存ということを言っています。つまり相手を打ち負かすということではなくて、大手のパチンコ店に真っ向勝負をしても物量でやられてしまうので、うまく共存し合うということで生き残りをはかっています。
ところで、先ほどの東部進出のお話を伺うと、大手の金融機関などは、「はんしん様は最初は中小企業だけを相手にするだろうと思っていたらそうではない」ということで驚かれたようですが・・・どのような戦略を考えられたのですか?
内田
当金庫は預貸率が低いので、金利が安いのは覚悟してボリュームを稼ごうと思って行ったんです。しかし、実は金利は確かに高くはないですけれど、企業の質が高いんですよ。
西部地区の方が実質的に金利は安いです(同レベルの企業を比較すると)。それはどうしてかというと、やはり拡大してない市場だから、競争をし過ぎてしまうんですね。東部地区はマーケットが拡大しているから、結果的には金利はそんなに安くなくて、ボリュームも結構いけているという事なんですよね。
嶋内
よく分かりました。ありがとうございます。
朝川
規模の話でいうと、実際アメリカの例でも、「働きがいのある企業ベスト100」に、グーグルとかスターバックスなど色々な会社がある中で、ナゲットマーケットというスーパーマーケットがあるんですが、店舗数は12店舗しかないんです。ウォルマートやウェグマンズと比べると、規模的には比べ物にならないような会社なんですが、「働きがいのある企業ベスト100」に常に入ってくるんです。たった12店舗しかない企業が何で入っているのかを知りたくて、アメリカのサクラメントまでナゲットマーケットを見に行きました。このように、アメリカでは規模の大小ではなくて、その地域できちんとした良いものを提供している会社の人気が高いということを見て、私は非常に勇気づけられたんです。
やはり、規模の大きいパチンコ店のように300店超えろというのは、今はなかなか難しいです。しかし、マーケットの規模を追わなくても、クオリティをちゃんと追っていくこと、これこそがUSEIという会社の当面の生き残っていく道であるし、目指すべき方向です。その掲げた旗に「ああいいね」と共感してくれる人と仕事をしようということを決められたのも、竹林舎や大学院で学んだ成果だと思っています。
もう一つ、企業の教育投資についても、はんしん様では、内田会長が人材投資をすると決めてから、ものすごい人材が育ってきていると思います。一昔前には、仕事はお酒や麻雀の席で覚えるものだとか、上司が仕事を教えるのではなく、部下は上司の背中を見ながら仕事を盗むものだという考えがありました。しかし、やはり知識も必要なので、はんしん様のように、カリキュラムを作って体系的に教え、論理立てて覚えるということを実践しているのを見て、そこから学ばせていただきたいと思っているのです。パチンコ業界も同じで、ややもすると先輩を見て覚えろという文化だったのを、私たちは、ちゃんと教育体系を作ってその中で上がっていく人を作っていこうと考えています。
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