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5. CSR活動

<CSR=経営目標>
嶋内
さきほど、地域と経済との関わりということをテーマにしましたが、はんしん様は、いわゆるCSR活動といった事で色々取り組んでいらっしゃると思うのですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
内田
これはまさに信用金庫の存在自体が、社会的責任をしっかり果たさなくては存在できないものです。そういうふうに地域との密着度が高いわけですよね。ですから、まさにCSRというのは、われわれの経営目標でもあるわけです。
さきほど話した、うちの経営理念というのは、「存在感のある経営を実践して、地域の人たちや、地域の中小企業に頼りがいのあるパートナーとして、地域の発展とか、明るい未来を築いていくということ」です。ですから、CSRいわゆる社会的責任をしっかり果たさないと、「地域なのに何で?」と言われてしまうことがあるわけですよね。
逆に言えば、ビジネスモデルとしては、都市銀行なんかはトランザクションバンキング※1ということで、一つの案件がいいか悪いか、YesかNoか二択の世界なんですが、われわれのリレーションシップバンキング※2というのは、過去と現在と未来、長い中でのビジネスを考えるものなのです。例えば、現在、会社が大変で社長も苦労している場合、たとえ社長のヤル気があっても、もしかすると2、3年後はうちの損害が倍になるかも分からないというような状況は容易に想像できるわけですよ。でも支えていくのは、われわれの役目じゃないかという事で、そういう案件はなるべくやるというスタンスでいます。
そのために我々は体質を強くする必要があります。われわれの経営目的というのは、堅実経営であり、つまり地域に役立つために体質を強くするんだということなんです。
金庫説明会でも「何で、はんしん、そんなに業績が良いのですか?」とたまに言われるのですが、「別に金利が他より高いわけじゃないですよ」と言っています。今は、色々なリスクを取って、利益を出しているわけですけれども、リレーションシップバンキングをしっかりやるためには、われわれ自身が強くなければできないんです。これは、お金が掛かるビジネスモデルなんです。
主要銀行が行っているトランザクションバンキングはお金が掛からない。その場で駄目と言って処理してしまえば、終わってしまうわけですから。
だからそういう意味では、我々の存在がCSRそのものだということで、色々なことをやっています。例えば、産学連携にはかなり力を入れていて、現在10の大学と産学連携をやっています。そのうち3つぐらいの大学では、寄付講座を持ち、うちの役員が金融の講座をやっています。
それは何で役に立つのかというと、金融や中小企業について解説することはもちろん、講座の中には中小企業論もありますので、「地域にはこういう非常に良い中小企業がたくさんありますよ。」という事も紹介できるのです。
また、大学に働きかけ、地域企業へのインターンシップの促進を行うなど、地域の発展につながるような、十指に余る色々な活動をしています。今一番力をいれてやっているもののひとつが、ムーミンの世界を体験できるテーマパーク「ムーミン谷」のプロジェクトです。これはうちがトップで資金提供をやりましたからね。はじめ、他の出資者が出すのにあまり乗り気ではない中で、うちが出したら後から付いてくるという感じでした。かなりリスクを取ってやっています。そういう意味では地域開発についても、精力的に前向きにやることによって、その地域が元気になるんです。それがわれわれの使命であるし、われわれが生きるためにすべきことです。われわれはエリアが決まっているわけですから、地域の発展がなかったら発展もないという考えです。これは運命共同体というか、使命共同体というぐらいの気でやる覚悟なんです。
※1…財務諸表等の定量情報に基づき、一時点かつ個々の取引の採算性を重視して融資する手法
※2…事業計画や経営者や企業をみて、様々な要因を検討して総合的、長期的に金融サービスを行うこと
<CSVに基づく経営>
朝川
その考えも、うちとそっくりです。
実は弊社もCSVというマイケルポーターが2012年にハーバードで打ち出したCreating Shared Valueという考えに基づいて経営をさせてもらっています。それは、内田会長がおっしゃった通り、本業による社会貢献が重要だということです。もちろん、ボランティアは、はんしん様もいっぱいやっていますが、本当に大事なのは、その会社がそこにあることによって、社会が回っているということです。金融機関はそれを堂々とうたえますが、私たちもこの地域にそのお店、その会社があって良かったと言われて初めて、そのビジネスそのものが社会貢献だと言えると思うのです。

まずは、日常の生活の中に潤いを与えるということを達成できることが大事で、その後に初めてボランティアをすることができるのだと思っています。
今、弊社は、子ども食堂などに少し支援をしたりしているんですけれども、それも一定の収益が無かったらできない事です。ですから収益を上げるというのは、日本だと何か悪い事みたいに取られがちですけれども、サービス業こそ、きちんとした一定の収益を上げるビジネスを作らないと、そもそも勉強もできないし、投資もできない。それがまわり回れば、地域に還元されていくといった意味では、非常に会長の話とリンクします。

嶋内
そうですね、会長のお話にもありましたけれども、ドラッカーも利益は企業が存続するために必要だというふうな言い方をしていて、やはり求めていくものは客数だし、地域に受け入れてもらうことだし、その結果利益が付いてくる。ただ利益が無いと企業が存続できないし、良い事もできないという考え方というところでは、私たちも、はんしん様を見習っていきたいと思います。
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