ナレッジ・マーチャント(知識商人)が USEIの未来を拓く

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USEIの今後―パチンコの先にあるもの

朝川
こういった話をしていて、実は私が今後10年以降先にやっていきたいビジネスモデル、USEIをこうしていきたいというビジョンもいろいろあるが、今日話をしていて、さらに勇気づけられたことがあって、私どもは良質なサービスを提供したいと真剣に思っている。コスト以上のよいサービスを提供したいと。パチンコ業界は規制が大きい産業で、敷居が高いが、規制の多い産業を大衆化をしていける会社を目指していくべきではないかと思っている。
世間的に評価の高くない産業が多く、パチンコもそうで、中身を聞かずにラベルで判断されることが多々ある。その中で、社会的に価値のある産業も沢山ある。それを、我々の手でイノベーションを起こしていくべきではないか。パチンコ業界のような規制の強い産業でも、イノベーションを起こして5年後とかに、結構できたねというふうになれば、そして規制の強い産業がまだまだ突破していけるような"人才"を育てていけば、社会に必要とされる会社ができていくと思う。大手電機会社がパチンコ産業にいかないのは、世間体が悪いから。逆にソニーが当時日陰だったゲーム業界にいったのは、すごかった。世界がどんどん変わっていく中で、まだ日の当たらない産業まで手を伸ばしていけたらなというのが、私の一つのライフワークでもあると思っている。社会に必要とされる企業であり、存在じゃないといけないなと思う。
結城
そういうところに目を向けるというのは、とっても良いと思う。そのためにも、もっともっと試練にあわなきゃいけない。厳しい状況、試練にあう必要があると思う。トップマネジメントが、これでもかというくらい試練にあい、それを潜り抜けるということが、なによりも財産になる。それから、会社としては、先ほどから出ている、ビジョンを掲げて世の中の役に立つということ、これを貫くこと。曲げない、ぶれない、貫く、これがなによりも大事。そうしたら、必ず成功すると思う。
朝川
試練や問題を乗り越えていくことでしか、会社や組織はよくならないと思っている。相談できる方が周りにいっぱいいるから。試練に立ち向かっていけることが成長につながるんだなと改めて思わせてもらった。本当に、ありがたい。この間から、パスカルの本を読んでいるが、デカルトとパスカルの違いは、デカルトは、万物に因果関係が成り立っていると言っているが、パスカルはそうではなく、合理的な因果関係を突き止めただけでは、わからないことがいっぱいある、ということを言っている。実は、全部の因果関係は決まってなく、色んなことが適応していったりすることの偶然の産物も多いと言っている。私はパスカルのほうを今のところ支持していて、例えば、流通のビジネスも30年前と今とでは、全く様相が違っていて、それは、お客様の声とか現場の世界とか現実を受け入れながら進化をしていったので今これがあるが、これを目的としてやってきたわけではない。私たちパチンコビジネスもそうで、お客様が欲しているものを聞いたり、答えたり、考えたりすることで、今までになかったものがちょっとずつ生み出されていって、10年後振り返ったら、こんなに変わってたねっていうことでしかなくて、すべてが始めから因果関係で決まっているって考えるのは、それはちょっとずるいというか、ただ答えの途中という感じになってしまうので、本当は答えがあるのかもしれないが、常に考えることでちょっとずつちょっとずつ変わっていくんだっていうほうを信じてやっていきたい。
パスカルで好きな一節があって、「あらゆるものが変化を続けていると、留まることはない。すべてを知ることはできない。だからこそ人間は驕ってはならない。絶望の淵に立っても希望を捨ててはならない。」これは、流通やパチンコビジネスだけではなくて、実は、知識商人=ナレッジ・マーチャントとかぶるところもあると思っている。こういったものがすべて繋がって、結城先生から伺ったナレッジ・マーチャントという言葉だけではなく、それを肉付けしていくのは結局自分たちなんだなということを改めて考えた。
結城
それは嬉しいし、その通りだと思う。言葉をつくったり概念を提示したりするが、最後はそれを自分の会社に当てはめる、そういう意味で当てはめて自分の会社流にアレンジすることは大いによろしいし、ユニークな会社をつくる必要がある。
ユニークさこそ存在価値。どこかと同じコピーをつくるというのが20世紀のチェーンストアの形、21世紀のチェーンストア・マネジメントはユニークさをいかにつくるか。私がよく言うが、レース型の競争の時代でなくコンテスト型の競争の時代なんだと。レース型というのは、目標は同じだし向かう所は一緒ということ。それがコンテスト型に変わる。コンテスト型競争というのは、速いとか強いとか高いとかいうことではなく、自分の個性がいかに生かされていてユニークであるか。コンテスト型の競争の時代。パチンコホールもしくはアミューズメント産業という中で、そのユニークさが何よりも最後に価値になる。
朝川
そういう意味では、USEIの"人才"という考え方は良いかもしれない。
結城
そのとおり。それらをつくる大元は"人才"。ユニークな"人才"が必要。
もちろん原則は学んで、ドラッカーの言うように原則を補助線にして、わが社なりのものをつくり出すという時代。
それが認められる時代になってきている。USEIの今後に期待している。
結城義晴教授

 
結城義晴教授プロフィール

立教大学大学院ビジネスデザイン研究科教授、学習院マネジメントスクール講師、パチンコ・トラスティボード有識者懇談会委員、パチンコチェーンストア協会経営分野アドバイザー、商業経営問題研究会座長等。 著書は、「店長のためのやさしい《ドラッカー講座》」(イーストプレス刊)、「小売業界大研究」(産学社刊)、「お客様のために いちばん大切なこと」(中経出版刊)、「メッセージ―店に元気を、仕事に勇気を」(商業界刊)、他。

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