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"アミューズメント業界のLCC"の真意

朝川
朝川
結城先生の話の中に、イノベーションというのは、生産性を変えることというのがあった。ドラッカーだけでなく、フランスの経済学者のセイも同じことを言っていて、イノベーションというのは言葉としては新しいが、概念は昔からある。
ドラッカーは、「イノベーションから変化をつくり出すと考えているけれども、多くの人がそうであることはまれである。成功するイノベーションは、すでに起こった変化を利用する。
その変化そのものと変化が周りに認知されるまでのタイムラグを利用する。」と言っている。
私たちの1パチ・5スロがそうで、最初に始めた訳ではないが、周りに認知されるまでの間に、私たちがどういうことをしてきたかというところが一番のポイントと思っている。
私たちのLCCは、1パチ・5スロのお客様に犠牲を強いないで、快適に遊んでもらうということをやっていて、我々はこの辺がイノベーションかなと思っているのだが、私たちのビジネスモデルについて、結城先生からアドバイスやコメントがあれば、いただきたい。
結城
"アミューズメント業界のLCC"というキャッチフレーズは、最近LCCの注目度が高いので、ずっと使うかは別にして、今はよいと思う。ディスカウントニーズ、コンビニエンスニーズ、スペシャリティニーズの3つのニーズのうち、ディスカウントニーズは常にある。二十数年前、5つのNo(説明しない・展示しない・交換しない・解約しない・無料サービスしない)を標榜したパソコン販売チェーンストアがあり、一気に伸びたが、一気にダメになったという経緯がある。だから、LCCは、負のニーズ、ギャップに対してしっかりした対応をしていくことが必要。ただ、航空機業界は世界的に統合の歴史で、LCC自体の将来は、その中でどうなっていくかはわからない。
朝川
私が頭に思い描くLCCは、サウスウェストで、今までの常識だった概念の転換をしたことが、私にとって最大の発想の先駆者。パチンコのビジネスにおいて、これをどうにかして活かせないかと思った。1パチ・5スロの専門店としてやっていくために、発想の転換が必要だが、不便をかけてはいけない。遊びに必要なものはちゃんと残して、今までの流れでやってきたものに対してはNoといって、そこをきちんと区分けしていくことで、新しいパチンコ像をつくっていくというのがLCCだと。ローコストの部分はローコストだけれども、すべてがローコストではなくて、必要なものは良い品質で残して、何をローコストにするかを考えていく会社だというのを今私たちはLCCという形で組み直している。
結城
LCCはローコストキャリアだが、根本からすると、サウスウェストは航空会社としてはサービスから何から最高。無駄なコストを削減したものをどこにもっていくか、それが大事。
朝川
何でもかんでもローコストがいいとは思ってなくて、ディスカウントは、人類に必要なニーズで、ただ安ければよいという訳ではない。ローコストというのは、配送のしくみや商品の調達方法等をしっかりと考えたことで、お店に来るお客様に対して手厚くサービスすることができ、お店の価値を上げることができる。お店の価値がなければ、いくらローコストでも意味がないと思っている。お客様は常に不安で自分には良くしてもらいたいと思っていて、その中で何を残すのか、何を磨き上げるのかというところこそ、個店個店の会社の視点が必要ではないかと思っている。アメリカでは、よい商品を安く売るために、ビジネスモデルをきちんと考えているので、現場の従業員がお客様の方にシンプルに向かい合える。この仕組みをつくった経営陣はすごいなと思った。パチンコでも、1円パチンコを粗雑にされたくないという絶対的な要望があるので、そこに関してどう応えていくか、人件費を下げれば利益はあがり、目の前の利益はとれるが、1年2年先のブランドの利益になるかといったらそうではないというところが、常に葛藤となっている。
結城
ローコストを何と引き換えにするかが大事。
朝川
コストを削減したものをどこに持っていくかというのは、会社視点と消費者視点の両方あるが、会社側から見たときに、削減したコストを使わないと、航空業界のLCCにおいて、低価格による市場参入→追随業者の参入による価格競争激化→価値の追加による価格アップ→別の革新的ディスカウンターの市場参入を繰り返す、いわゆるマクネアの小売の輪のようなことが起こり得るか? また、消費者側からの視点で、節約したお金を違う楽しみに使えるという意味で、削減したコストを企業がどう使うかということと、お客様にどう使っていただくかということが一致すると、企業が存続していけると思うが、私たちのビジネスにおいて、お客様が1パチで節約できたものをどう捉えてくれるのか。
結城
小売りの輪仮説は何度も起こっているが、LCCに小売の輪仮説が当てはまるかは、結論が出ていない。席巻するような会社が出てこないといけない。航空会社はワールドワイドに統合が行われ、そこにLCCが登場してきた。本当の企業努力で安くしているのではなく、高くしているものを削っていき、ギャップがあったから登場しやすい。料金など公的なものがあり、大きな規制がある。USEIもそうで、規制が激しい業界におけるLCCのような考え方になるのではないか。
朝川
現状のLCCが成功しているか、失敗しているかわからないが、サウスウェストで考えるとわかりやすい。ローコストなものを良いサービスにしていくという意味でLCCを使っていて、何をもって概念をつくっていくかが大事だと思っている。ドメスティックな産業で、規制が沢山あるものを、発想力と自分たちの独自性を発揮することによって、変えていけるという意味では近いと思っている。そういった意味で、サウスウェストと類似点が結構あって、その中で私たちが発想の転換や、やりたいことをシンプルにやっていくんだという思いによって、この業界の一つの選択肢をつくっていこうという取り組みだということに総括されそうだ。
結城
そのとおり。先程のパソコン販売店だが、オタクばかりでパソコンが足りないときは、5つのNoを実行してもお客は来たが、今の世の中になるとだめになる。
朝川
マニアックな人たちがいる頃は、安くさえすれば売れるが、説明や品質保証やアフターケアなども求める顧客に売っても儲からない。情報を知らない人にきちんと理解していただいて、顧客を創造していくことを私たちがしていけばいい。地域に密着し、普段利用していただき、たまに大手ホールを利用する、と使い分けをしてもらえればいいと思っている。
結城
ローコスト経営のベースに立って、独特のサービス、独特のアイデアがある。
朝川
使い分けをしてもらいたいという私たちの発想があって、悪いものを安く届けるということとは絶対にしたくないというのが、私どもがこれからつくり上げていきたいモデル。
結城
LCCを使うときに、サウスウェストというイメージがあるのはとってもいいと思う。格安航空会社というイメージになると、ちょっと違うかも。
朝川
パンフレットにサウスウェスト航空と書いてもわかりにくい。
LCCだと最近テレビでやっており、今旬なので、キャッチはしやすい。ただ、本質は中々説明しにくい。
結城
ローコストというのは、ドラッカーも言っているように、生産性の問題で必須なので、それを無視するのは論外。前面に出すための方法、イメージを持つことが必要。
ローコストでまわせるという会社の体質は非常に強い体質を意味する。
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